それでも世界は廻るけど

屋上に夕焼けを繋いだ落日が、
風に流されてそっと夜を連れて来たよ。

はぐれ鳥？
違う、迷い鳥。

カッコーがほら、鳴き叫ぶ。
息を殺して鳴き叫ぶ。
哀しいね。

遠くには仄めいた団地が瞬き、
さんざめく鳥達は巣に帰るのでしょう。

帰れない？
そうさ、帰らない。

カッコーがまた、鳴き叫ぶ。
声を殺して鳴き叫ぶ。

正しい答えは知ったけれど、
この世界は少しだけ病んでます。

僕達は此処にいるかい？
この闇に甘えるのかい？
壊れた心の窓越しに、この空を眺めてるだけかい？
僕達は此処でいいかい？
この闇に任せるのかい？

鳴き叫ぶ僕達は朝を待つ。

代わり映えのない毎日に、
世界が答えを棄てるなら、
カッコーの巣の上で高く光を翳す。

僕達はまだ飛べるかい？
この闇に羽ばたけるかい？
壊れた心の窓を今、奇跡で粉々に出来るかい？
僕達は笑えるのかい？
この闇に笑えるのかい？

くだらない幸せと、死んだ明日にさようなら。
鳴き叫ぶ僕達が朝になる。

光が強くなった。
新しい羽で羽ばたいた。
明日は今、此処に。
汚れた朝陽に抱かれて―――――。


カッコー